音楽で使う用語に、「音名」と「階名」があります。
「音名」は、絶対的な音の高さです。
ざっくり言うと440Hz辺りから880Hz辺り(または220Hz辺り)までの1オクターブを12分割したものを基準に作られた、特定の周波数に対して付いた名前が「音名」です。
英米式なら
幹音(ピアノの白鍵)はA・B・C・D・E・F・G
派生音(ピアノの黒鍵)は#または♭を付ける
イタリア式なら
幹音はド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ
(イタリア式の派生音は名前が長ったらしいので省きます。)
と名付けられています。
この他には「いろは」で表した日本語の音名もありますし、クラシックならドイツ式の音名を使うことも多いです。
漢字・ひらがな・カタカナ・ローマ字・絵文字を使い分ける日本らしく、「音名」も状況に合わせていろいろな国の用語を使います。
漢字・ひらがな・カタカナ・ローマ字・絵文字を使い分ける日本らしく、「音名」も状況に合わせていろいろな国の用語を使います。
一方、「階名」は音楽を構成している音を下から順に並べたもので、
長調ならド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シになります。
ピアノをいたずらした事のある方ならお気付きだと思いますが、黒鍵を利用すればピアノのどの鍵盤から始めてもドレミファソラシの音程関係を作れます。
ということで、七音階の音楽で使われる音の立ち位置を示したものが「階名」です。
さて、中学校や高校の音楽の時間に楽理を勉強すると、「音名」をドイツ式または英米式で、「階名」をイタリア式で学習します。
しかしここで疑問があります。日本ではソルフェージュは習慣的にイタリア音名で歌うのです。
例えばGから始まる長調の音高を英米式音名で表すと
G・A・B・C・D・E・F#
これを階名で歌うとすると
Gが「ド」になります。しかし、実際にソルフェージュを歌う時は「C」が「ド」で「G」は「ソ」になります。つまり、事実上イタリア式音名を採用している事になります。
これで何が困るかと言うと、ハ長調・イ短調以外の調でうっかり階名で言うと、相手が音高だと思って話が食い違う時があるのです。そのため、音高を言う時は英米名またはドイツ音名を使うようにし、イタリア音名を使う場合は音名として使っているか階名として使っているかを予めはっきり言うようにしています。
音楽教育においては古くから現代に至るまで「固定ド」で教えるか「移動ド」で教えるかと言う論争が続いています。
素人には全く不毛な論争に思えますが、どうせなら、教科書の通りに「『固定C』か『移動ド』か」論争にして欲しいです。