ゆうこのゆるゆる通信

おとぼけ天然キャラ(*^_^*)箏奏者・福田優子の周りで起こる、日々諸々のこと

2021年01月

ピタゴラス音律と三分損益が本当に同じか計算してみた

和楽器を専門にしている人は、日本音楽の音律として「三分損益」と言う方法があると教わります。
中国から伝来した方法で、完全5度と完全4度を駆使して1オクターブ内の12音(ピアノの白鍵7つと黒鍵5つの音)を割り出します。

こう書くと難しく感じますが、実はちょっと調弦ができるようになると誰でも思いつく方法です。
私が学生の頃はチューナーは高価だったので、十七弦も耳で取っていました。
そして、ドレミに調弦する時に無自覚に使っていた方法の一部が、三分損益でした。
道具がないと言うのは必ずしも悪い事ではないですね。

手順はこちら
(1)まずCを取ります。
C

(2)Cの完全5度上のGを取ります
C-G


(3)Gの完全4度下のDを取ります
G-D

(4)Dの完全5度上のAを取ります
D-A


(5)Aの完全4度下のEを取ります
A-E


(6)Eの完全5度上のBを取ります
E-B


ここまでが三分損益の手順と同一です。

三分損益ではこのまま同じ手順で12音とっていくのですが、私はドレミファソラシの7音しか必要ないので、最後にCから完全4度上のFを取ってドレミの調弦を完成させていました。
C-F


完全5度の振動数の比は2:3、完全4度の振動数の比は3:4、です。
これ、今日のお話ではとても重要なので覚えていて下さい。

さて楽理では、西洋音楽のピタゴラス音律が原理的に三分損益と同じだと教わります。

ピタゴラス音律の割り出し方は、ひたすら完全5度上の音を12個割り出していきます。
すると、音の範囲がものすごく広くなるので、最後にオクターブ単位で下げていき、1オクターブ内に収めるとできるのがピタゴラス音律です。

1オクターブの振動数の比は1:2なので、2分の1で割っていくとオクターブずつ下がることになります。
これも重要なので覚えていて下さい。

これからがようやく今日の本題です。
私、数学がとても苦手なもので、
3:4と2:3の振動数の比を使って上げたり下げたりしながら割り出す三分損益と、
2:3の振動数の比を使ってひたすら上げていき、最後にどんどん2分の1にしていくピタゴラス音律が同じと言われても、感覚的になかなか信じられませんでした。

最近、
「疑問に思うなら実際に計算してみよう!」
と思い立ちやってみました。

実際の数字で計算した方が分かりやすいので、国際標準ピッチより1オクターブ低いAである220Hzを基準にし、とりあえず最初の7音だけ割り出すことにしました。
220Hzにした理由は、単純にスタートの数字が小さいほうが計算が楽かなと思ったからです。

まずはピタゴラス音律

ピタゴラス計算


次に三分損益
こちらは上がったり下がったりするので、分子に対し分母が大きかったり小さかったりします。
三分損益

この、音が下がる際に分母と分子がひっくり返るのが肝でした。
三分損益で分母の大きいところが、ちょうどピタゴラス音律で1オクターブ内に納めるために2の乗数で割っていくところと同じになります。

計算式を書いている途中から、
「確かに!ピタゴラス音律と三分損益は同じだ!」
と思いました。
ひゃぁ、なんだか手品みたい!
でも、ちょっと問題が…

この式が正しいかチェックしてくれる人がいません。
誰かチェックしてくれないかなぁ。






雑な着物生活

「着物」と言う言葉を聞くと何を連想しますか?

背筋のピンと伸びた大和撫子

日常着として着物を着ている人なら紬の着物に割烹着。料理は出汁からきちんと取り、梅干しも自分で漬けて、手間をかけた丁寧な生活をしていそうです。
凛として優雅なイメージで、泥臭さとは一切無縁です。

一方の私…先日虫干しのために着物を何枚か突っ張りポールに掛け2時間後にしまいに行ったら、ポールが重さに耐えかねて落下していて着物がくちゃくちゃになっていました。取り敢えずポールを取り付けなおそうとしたら失敗し、再度落下したポールが肩に当たり、なんだか惨めだしギャグみたい。残念すぎる…

そんな私の、汗と涙と悪知恵の雑な着物生活の一端をどうぞ。

まず半襟。
面倒くさいので両面テープで付けていたら、いつの間にか襦袢の襟が傷んでボロボロになってしまいました。
並縫いが波縫いになる私ですが、最近は諦めて2時間かけて縫っています。

以前、正絹の袖が付いた半襦袢を誤って洗ったら意外にも縮みませんでした。そこで調子にのり洗濯機でガンガン洗っていたら、いつの間にか袖丈がどれも一寸(いっすん)短くなっていました。
年単位で洗うとダメなようです。

袖丈が合わなくなったので、合う袖に付け替えようとしたら、タンスのあちらこちらから半端な丈の袖がいくつも出てきて、現在部屋が福笑いのような事になっています。

お裁縫が苦手な割に考えることは大胆で、襦袢の袖を解いて単衣の袖を2組作ると言うケチな事をやったこともあります。思ったより複雑な構造になっていて、縫うのが大変でした。

そうそう、私以外のエピソードもご紹介しなくては。

「縫いにくくて大変だなぁ」
と思いながら半襟を裏表同時に一気にグッシグッシと縫い付けていた猛者がいます。
こう言う縫い付け方をすると襟が波打ちやすいです。私達は半襟に横ジワが沢山入った状態を
「ザビエル」
と呼んでおります。

着物にまつわる失敗談を集めて本にしたら、結構面白おかしいものができあがるのではないかしら。
本のタイトルはもちろん

「 雑な着物生活」






合奏練習!

先月、小林真由子ちゃんと地歌「松竹梅」の練習をしました。

真由ちゃんが今お稽古中の曲として「松竹梅」の楽譜をSNSに上げていたので
「その曲、大好き!」
とコメントしたら、じゃぁ合奏しようと練習会をする事になりました。
本当に本当に純粋に合奏を勉強するためだけの合わせです。

職業として演奏するようになると、練習のためだけに曲を弾く機会が激減します。
そして、お互い本番を控えて忙しいのは分かっているので、ただの練習のために合奏のお付き合いを頼むのは申し訳なく頼みづらいものです。

そんな中、真由ちゃんの方から声をかけてくれるなんて、なんてラッキー!!

「松竹梅」はGARAを始めた頃に一度合奏した事があります。10年以上の歳月を経て合奏すると、流派ごとのノリの違いなどが意識できるようになり、以前よりも沢山の気付きがありました。

やっぱり!
やっぱり!
ぜったいに!

短期的には進歩がなく感じても努力は報われるのです!

すごく楽しい時間はあっという間に過ぎ、これからは定期的に古曲を合わせようという事になりました。
願ったり叶ったりです。

次の曲は吾妻獅子に決まり、早速楽譜を取り寄せました。
IMG_3714
替手の楽譜を見たら!
IMG_3715
どひゃ〜なんじゃこりゃ!
難しいとは聞いていたけど、すごく細かい!
でも、なんかワクワクして顔がニヤつきます。

芸事は厳しいですが、いつも新しい発見や挑戦があり、飽きる事がありません。ありがたい事です。
そして師匠や友人にも恵まれ…

私、本当に幸せ者です。







オンラインおさらい会終了しました!(それから主催者向け技術レポート)

昨日、三浦可栄先生のお教室と合同のオンラインおさらい会が終了しました。
皆様お疲れ様でした。

三浦先生のお弟子さんとは半年に一回、または一年に一回くらいのペースで顔を合わせるのですが、間を置く分上達しているのが実感できますね。

私の教室の生徒さん達も頑張りました。
今回は2回目という事で、画面の向こうの聴衆に向かって弾くと言う状態に慣れ、変な緊張をしている様子はなく良い出来でした。
素晴らしい!

今回はレッスンをお休みしている方も視聴で参加し、楽しい会になりました。
これが対面だと、会終了後に再会を喜びお喋りに花が咲くところですが、オンラインでは無駄話は一切できず、そこが寂しいところですね。
でも、自宅での隙間時間を使って参加できたということで、それぞれに良いところと悪いところがあります。

さて、今後も緊急事態宣言が解除になるまでは、東京も仙台も、オンラインレッスンにならざるを得ないということで、オンラインで演奏する場合の音響について色々考えさせられました。

私がレッスンで聞く分には、マイクを通した音がお箏の音に聞こえなくても脳内で変換しているので何とかなりますが、おさらい会として人に聞かせたり、生徒さんがハイレベルで繊細な表現もチェックしたいといった場合、お箏の実際の音に近いのが理想的です。

今回色々聞き比べてみて、古いパソコンの場合は外付けマイクはあった方が音が良いと感じました。
生徒さんで、2・3000円程度のUSBコンデンサーマイクを購入して使いはじめたところ音がかなり良くなったケースがありました。
欠点は、この価格帯のマイクは集音の範囲が狭いようで、1m程度離すと会話が聞き取りにくいことが多いことです。
ただ今後、より良い音で聴く必要が出てきた時は、このくらいの値段ならお願いしやすいと思いました。

一方コロナ流行以降に発売されたパソコンの場合は、マイクとウェブカメラの性能が上がっているようです。実家の父が新しいパソコンを買ったので試してみたところ、5000円程度の安価な外付けマイクよりはパソコンの内蔵マイクの方が良い音がしました。

また、課題になるのは通信状態です。
今回はレッスン中に通信が不安定になり激しく音割れした生徒さんがおり、少しでも負荷を減らすために本番ではビデオをオフにして演奏してもらいました。
ただ、当然の事ながらスポットライトにできず、参加者がお互いの様子を見ながら聞くので視線のやり場がなく落ち着きませんでした。
ビデオをオフにして演奏する場合は何かホストの方で表示を出してスポットライトにする工夫が必要だと思いました。

オンラインおさらい会での通信のチェックポイントは
・パソコンとルーターを有線で接続する
・演奏中は家族にスマホも含めてネットを使わないようにお願いする
・通信が不安定になりやすいことが分かっている場合はビデオをオフにして負荷を減らす
と言ったところでしょうか。

さて、前回は初めてだったので撮るのを忘れた集合写真です。
IMG_3713

Windowsのキーボードに付いているプリントスクリーン機能を使って撮影しました。
本当は、演奏している最中も1人1枚撮るつもりだったのですが、忘れた〜!





お正月と春の海と楽理

いつも即興の演奏をしているホテル、今年は元旦にも入りました。

朝、ロッカールームで着替えていたら、スタッフのお嬢さんに
「お正月のあれ弾いて下さい!」
と可愛くリクエストされました。

多分「春の海」のことを指しているのでしょう。
なんとかしたいなぁと思うものの、尺八はいないし、調弦は全然違うし…
基本的にノンストップで弾くので、立ち上がって一の柱を動かすのは避けたいところです。

考えた末に平調子の四・九を一音上げ、最初の半ページだけ弾くことにしました。

その仕組みです↓

(1)春の海の調弦は、三・八・巾を主音とする都節音階の上行系です。

ミ・ファ・ラ・シ・レなので、
中空調子の七と為が一音上がっています。
(平調子の六・斗が半音上がっていると言った方が分かりやすいかな?)

「春の海」は五がAと指定されているので、主音である三・八・巾はEになります。

(2)通常、お仕事では、転調のし易さなどから五をDと定めて弾くことが多いです。
「春の海」のリクエストがあった場合、尺八がいないのと、調弦の大幅な変更を避けるため、五=Dの平調子から六・斗を半音上げ、一は六の乙(1オクターブ下)にしています。
調弦の手順は楽譜の指示通りですが、基音が完全4度も高いので、かなりキンキンとした残念な感じになります。

(3)即興のお仕事はノンストップで弾くため、13本全部を転調したり、体から一番離れた位置にある一の弦を転調するのは避けたいところです。
という事は、転調せずに一が主音になれば良いので平調子と言うことになります。
調弦は都節音階の上行系ですから、つまり平調子から四・九一音上げれば良いわけです。

弾いてみると原曲の基音がEなのに対し、一音違いのDで弾けるので違和感があまりありません。
ただし、弾く弦が指定よりだいたい四本分移動しているので、今のところスムーズに弾けるのは最初のあの

トン トトトト トトトン

というフレーズが続く半ページのみになります(それ以降はまだ未検証)。一通りそれらしく弾くには楽譜を書き直さないといけません。

完全に弾けたら便利だから書き直してみようかな…


さて、これまでの説明で意味が分からなかった方、まずは

五=D 平調子より四・九一音上げる、一は五の乙
(つち人形、花筏のお調弦です)

にして、一からトン トトトトトトトンと春の海の有名な冒頭のフレーズを弾いてみて下さい。
ちゃんと弾けます。

ちょっと意地悪なようですが、これは楽理の応用です。
講師以上の資格の方で、ここまでやってみてメカニズムを理解できなかった方……

やばいですよ
相当やばい
再受験かなぁ( ̄▽ ̄)
(嘘です)

今年もオリンピックの関係で、お免状試験は6月開催ですが、楽理は色々な場面で使えるので、試験対策も兼ねて日常の練習で使うように工夫すると、覚えも早いですよ!





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